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矯正治療は 見た目だけでなく心理的に良い影響

歯の矯正治療は「見た目の美しさ」という審美的な部分と、「食事をしたり、話をしたり」という機能的な部分の両方をできるだけ高いレベルで両立させることが、大きな目的だといえます。 矯正治療によって歯並びを美しく整えると、健康を増進させるばかりではなく、心理的にも良い影響をもたらすことが出来ます。
 
歯並びを直す人が、最近では本当に多くなりました。私の子供時代はまだめずらしく、しかも大人で直している人などほとんど見かけなかったのではないかと思います。最近ではめずらしくなくなったとは言え、歯並びについても残念ながらまだ正しい知識が一般の方には伝わっていないようです。
 
「やってもすぐ元にもどる」とか、「むし歯になる」とか、「体と心によくない」とか、こういったことを一般の人だけでなく、矯正の知識のない専門家の人までが言うことがあるので、困ったものです。ただ、こうした意見を耳にすることがあるのもやむを得ない面もあります。それは矯正治療が、大学の学生時代の勉強だけでは不十分で、大学を卒業後に専門的に勉強して、経験を積んで行うことができるものだからです。ですから、矯正治療を専門に行っている歯科医院もあるわけですし、歯科口腔外科や歯科矯正など専門性が高い治療分野は、専門家に任せる方が安全で安心であると思います。
 
ただ、歯並びを直すといっても、実際は歯を抜いたりすることもありますし、歯肉の中に埋まって出てこない歯を引っ張り出して、正しい位置に並べたりといった外科的な治療と合わせて行うことも多いです。また、むし歯にならないようにハブラシ指導を行ったりも、当然、必要になります。 矯正といっても、こうした他の治療とも関係していますので、私の医院では、こうした他の疾患との関連性の強い矯正や小児の咬合誘導を主に行い、それが以外の歯科矯正は専門医に紹介するようにしています。
 
矯正治療も装置を舌側に装着して、装置が見えないようにして行うものや、金属の装置を使用せず、マウスピース型の装置で行うものなど、さまざまな方法があります。歯科矯正治療の専門の歯科医院でもそれら全てに対応しているとは限りませんので、矯正治療の方法、治療期間、すべてにかかる金額、保証、歯科医の実績などの説明をよく聞いて、納得してから治療を行うかどうかを決めることをお勧めいたします。
次にどういう歯並びだと治療した方がいいのか、簡単にご説明します。
 

 
 

叢生(そうせい) (乱ぐい歯) 

 
 

上下の前歯や小臼歯が重なり合って、でこぼこになった不正咬合を叢生と言います。 顎の骨が小さく、歯の生えるスペースが足りないため、前歯だけでなく小臼歯や第二臼歯などが傾斜して生える場合も多く、ガタガタの程度によっては歯磨きがしづらくむし歯や歯周病になりやすくなります。 子供の時期に上顎を広げる装置を入れるなどをして、乱ぐいの程度を改善することも出来るために、小学校の時に、相談する事をお勧めします。
 

反対咬合(はんたいこうごう)

 
 

咬み合わせた時、下顎前歯が上顎前歯よりも前に突き出る不正咬合を言います。乳歯の時に上の前歯と下の前歯が切端で噛み合うのは異常ではありません。また、ご両親やご家族が正常咬合なら乳歯の時はあまり心配する必要はありませんが、前歯が永久歯に変わった時(6歳前後)に反対咬合なら、早めに治療する必要があります。反対咬合の場合は、上顎の成長が抑制されてしまう恐れがあるからです。 前述した叢生もそうですが、子供の頃なら、顎の成長を促進させる事ができますので、顔の形態も含め、子供の時の矯正は一生を左右します。
 

上顎前突(じょうがくぜんとつ) 

 
 

俗に“出っ歯”といわれるように、上の前歯や上顎が下の前歯より著しく前方に突き出した不正咬合を言います。芸能人にも時折見受けられますが、咬合も深くなりがちで、 下顎が小さく見えると思います。鼻の下から上唇が前方に出ているので、顔貌(がんこん)も特有の形態になりますが、機能的には発音に問題が生じる事があります。反対咬合もそうですが、成人では外科的な矯正が必要になることもあります。
 

過蓋咬合(かがいこうごう)

 

咬みあわせたとき、下の前歯がみえないような、前歯の咬み合わせが極端に深い不正咬合を言います。上記の上顎前突と併発している事が多いですが、成人で早くから奥歯を失い、そのまま放置していたために前歯が過蓋咬合になっていることもあります。どちらにしても咬合挙上して奥歯を高くする必要があり、状態によっては矯正治療と、補綴治療を併用する必要もあります。 

 

開咬(かいこう)

 

上下を咬み合わせても、前歯や横の歯が接触せず、咬み合わない不正咬合を言います。この状態ですと、食物を飲みこんだり、唾を飲みこんだりする時に、前歯の隙間を埋めるために、舌を前方に出して塞ぐようにして飲みこむために、ますます歯が前方に動き、隙間が開く傾向にあり、悪習癖と言われる舌の使い方をします。 矯正治療に舌の悪習癖を直すトレーニングが必要になりますので、患者さん自身の「直す」という意識がとても重要になります。
 

交差咬合(こうさこうごう)

 
 

咬みあわせたとき、上下顎の奥歯の咬み合わせが横にずれている不正咬合を言います。前歯でなく奥歯の片顎の反対咬合を伴うことが多く、芸能人やご高名な方にも見受けられます。そうした人をテレビなどで拝見して「子供の頃に直せばよかったのに」と思った歯科医師はきっと少なくないと思います。子供の頃はあまり目立ちませんが、成人になると顔が左右どちらかに曲がっているように見えます。成人の場合は、多くは矯正治療と外科治療の併用で直すことになります。

【参考】
日本矯正歯科学会
http://www.jos.gr.jp

矯正装置装着後の注意点

矯正装置をつけた後のお食事や歯磨きそして痛みについて不安な方も多いと思います。詳しくは矯正歯科医、あるいはかかりつけの歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。ここでは一般的なことについて書いていきます。歯磨き器具がついていると、通常よりも歯磨きが上手くできずに、むし歯や歯肉炎になってしまうリスクが高くなりますので、子供の場合は、保護者の方も一緒に歯磨き方法を教えてもらう方がいいと思います。
 

痛みが出たら

お口の中に矯正装置が入り、歯が動き始めると痛みを感じます。痛みは個人差がありますが、普通は3日から1週間くらいでおさまってきます。
ここでは痛みがでた時の対処法をいくつかお伝えします。
①塩湯を口に含んだり、歯肉を指でマッサージすると歯根の周りの血液の流れが良くなり楽になります。
②我慢できない時は痛みどめを飲みましょう。
③痛みがある時のお食事は柔らかいものにしましょう。
④装置が唇や頬にあたって痛い時は、歯科医院で渡されたワックスがあれば、それを使いましょう。それでも痛い時は歯科医院に連絡をしましょう。
 

お食事について

①りんごやおせんべいや硬い生野菜の丸かじりは避けましょう。
②歯につきやすいガムやキャラメルは食べないでください。
③カレーなどのお食事をした場合は食べてすぐに歯磨きをしましょう。装置に色がつく場合があります。
 

歯磨きについて

 

咬む面の磨き方は、歯ブラシを平行にあてて、一番奥の歯から前後に動かして磨きます。
 

前歯の表面は歯ブラシを斜めに押しあてて横に振動させます。
 

磨きにくいところはインターデンタルブラシを活用すると良いです。
 

 金具がついているところは汚れが残りやすいので、しっかり磨きましょう。
お問い合わせ TEL 027-320-2418